S&P500と日経平均、長期投資でどれくらいの利回りが期待できるか検証

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最近の投資ブームでインデックスファンドに投資を始めた方も多いと思います。

今回は、インデックスファンドに長期投資した場合、どれくらいの利回りが期待できるのかをS&P500と日経平均のデータを使って検証しました。

はたしてFIREの4%ルールは妥当なのか、資産計画をたてる場合どれくらいのリターンを見込んでよいのか、ぜひ参考にしてみてください。

目次

投資期間と利回りの関係【S&P500】

1950年から2022年の株価推移

始めにS&P500の1950〜2022年の推移を見てみましょう。

S&P500の推移(1950年~2022年)

よく見るグラフですね。ただ、1900年代と2000年代では株価が違いすぎるため、1900年代の推移がほとんど平坦に見えてしまいます。このようなときは、縦軸を対数で表示するとわかりやすくなります。

S&P500の推移(1950年~2022年)対数表示

S&P500はいくつもの暴落を乗り越えながら、右肩上がりで推移し続けているのがよくわかります。

それでは、S&P500に連動する金融商品に投資した場合、どれくらいのリターンが見込めるのかを見てみましょう。

1950年から2022年の平均利回り

検証方法は以下の通りです。プログラムはPythonという言語で作成しました。

検証方法
  1. 1950年から2022年現在まで、全ての月で投資を開始した場合の結果を集計する。ただし、投資期間が取れない月は対象外とする。
  2. 投資期間を1年から25年までの全てのパターンでシミュレーションする。
  3. 年平均利回りを計算し、最大値/最小値/平均値を求める。
  4. 利回りは株価の推移のみで計算し、手数料や税金、配当金・分配金は考えない。

シミュレーションの結果をグラフにすると下のようになりました。

投資期間と年平均利回りの関係(1950年~2022年)

グラフの見方ですが、横軸は投資期間(年)で、縦軸は利回り(%)です。青の線は最良のタイミングで投資を行った場合の年平均利回り、オレンジの線は最悪なタイミングで投資を行ってしまった場合の年平均利回り、緑の線は全体の平均利回りを示しています。各投資期間の年平均利回りが、青線とオレンジ線の間に収まることを表しています。

投資期間1年ではボラティリティ(価格変動)が非常に大きく、最良の場合は53.72%最悪の場合は-44.76%の利回りとなります。そして、長期に投資するほどボラティリティは小さくなり、期待収益率の近くに収斂していきます。

細かい数値は下の表のようになっています。サンプル数は集計に利用できたデータの数と考えてください。

スクロールできます
投資期間(年)最大値(%)最小値(%)平均値(%)サンプル数
153.71-44.769.06862
236.77-25.099.02850
330.58-16.598.88838
428.51-8.658.84826
526.32-5.768.79814
622.88-5.578.68802
720.35-3.848.56790
818.54-3.568.51778
918.65-4.378.48766
1017.33-2.718.41754
1117.14-1.368.35742
1216.750.228.29730
1316.360.548.25718
1416.441.268.18706
1517.141.698.16694
1617.162.028.16682
1717.242.198.17670
1816.712.258.17658
1915.402.938.18646
2015.393.138.18634
2114.683.188.22622
2214.653.498.27610
2313.813.428.33598
2413.603.808.40586
2513.914.228.47574
投資期間と年平均利回りの関係(1950年~2022年)

投資期間15年くらいの長期投資になると、どんなに悪くてもマイナスになることはない、ということが読み取れます。そして25年程度続けていれば、最低でも4%以上は堅いという結果です。

一方、投資期間5年では最悪の場合-5.76%、10年でも-2.71%の利回りとなり、必ずプラスになるわけではありません。インデックス投資でも短期的にはマイナスになりうることは覚悟する必要があります。そでも投資を続けることができれば、やがてプラスに転じることをこのグラフは示しています。

全体の平均利回りは8%以上となっており、10年の複利運用で資産が2倍になる7.2%(72の法則)を超える利回りが期待できます。

1975年から2022年の平均利回り

次に検証期間を1975年から2022年とした場合の結果を見ていきましょう。あまりに古いデータが入っていると、現代の傾向とは違っている可能性があるためです。

投資期間と年平均利回りの関係(1975年~2022年)
スクロールできます
投資期間(年)最大値(%)最小値(%)平均値(%)サンプル数
153.71-44.769.84562
235.21-25.099.82550
330.58-16.599.76538
428.51-8.659.79526
526.32-5.769.85514
622.88-1.519.84502
720.35-2.389.83490
818.54-3.569.89478
918.65-4.379.87466
1017.33-2.719.86454
1117.14-1.369.81442
1216.750.359.74430
1316.361.259.64418
1416.442.449.55406
1517.142.919.52394
1617.163.369.55382
1717.243.729.55370
1816.714.379.56358
1915.404.379.58346
2015.394.639.59334
2114.684.979.61322
2214.655.559.65310
2313.815.709.70298
2413.206.349.72286
2513.286.719.69274
投資期間と年平均利回りの関係(1975年~2022年)

検証期間を1950年から2022年とした場合より、1975年から2022年とした方が良い結果となりました。25年の長期投資になると、最低でも6%以上の利回りが得られることがわかります。平均利回りは10%近くに達しており、素晴らしいパフォーマンスとなっています。

リスクを抑えつつこれだけのリターンが得られるのですから、インデックス投資の人気も納得ですね。

2000年から2022年の平均利回り

さらに最近の傾向を見ていきましょう。2000年以降のデータのみで検証すると下のようになります。

投資期間と年平均利回りの関係(2000年~2022年)
スクロールできます
投資期間(年)最大値(%)最小値(%)平均値(%)サンプル数
153.71-44.766.55262
235.21-25.097.18250
324.44-16.597.39238
421.06-8.487.57226
521.40-5.767.62214
620.03-1.407.60202
716.00-2.387.49190
816.79-3.567.42178
916.57-4.377.55166
1015.17-2.517.77154
1114.53-0.817.81142
1215.570.547.82130
1315.511.737.77118
1411.433.237.49106
1510.432.917.4294
1610.213.367.5182
1710.153.987.6170
1810.894.717.6258
1911.064.527.5846
209.254.637.3234
218.716.417.1322
227.505.556.3410
投資期間と年平均利回りの関係(2000年~2022年)

2000年以降ですと少しパフォーマンスが低下します。1975年からと比較すると平均利回りが2%程度悪くなっています。ITバブル崩壊リーマンショックの影響が大きいためと考えられます。

考察

S&P500への長期投資では、いずれの期間でも15年以上投資を続ければリターンがマイナスになることはないという結果です。もちろん過去の結果ですので、これから先のことを保証するものではありません。

1975年から2022年の結果を見ると、25年の運用では最悪でも6.71%、平均では9.69の利回りとなっています。インフレ率を差し引いて「4%ルール」で取り崩すFIREの考えは、妥当と言えるのではないでしょうか。

一方、2000年から2022年の結果を見ると、25年の運用はサンプルがありませんのでわかりませんが、全体の利回りが7%台に低下しているのが気になります。まだ4%ルールでの取崩しも可能な範囲ですが、今後の推移によっては厳しくなる可能性もあり、注意深く見守っていく必要があります。

投資期間と利回りの関係【日経平均】

1950年から2022年の株価推移

次は日経平均の結果を見ていきましょう。まずは1950年から2022年の株価推移です。対数表示も同時に載せました。

日経平均の推移(1950年~2022年)
日経平均の推移(1950年~2022年)対数表示

最高値を更新し続けるS&P500とは違い、日経平均はバブル崩壊前の最高値をいまだ更新できていません。

1950年から2022年の平均利回り

検証期間を1950年から2022年とした場合の結果は下のようになりました。

投資期間と年平均利回りの関係(1950年~2022年)
スクロールできます
投資期間(年)最大値(%)最小値(%)平均値(%)サンプル数
1141.55-48.7610.78862
2102.62-33.5510.69850
376.66-26.3210.25838
451.81-17.009.86826
542.40-12.739.73814
639.33-12.709.62802
737.24-12.709.48790
832.56-9.459.41778
933.19-9.439.33766
1035.48-7.839.19754
1134.50-7.238.98742
1231.73-8.268.78730
1329.02-9.038.64718
1426.30-8.248.52706
1524.11-6.198.48694
1623.76-4.918.50682
1722.34-3.458.50670
1821.34-3.768.48658
1921.60-5.058.46646
2021.72-4.308.41634
2122.05-4.768.38622
2223.94-4.488.37610
2323.97-4.348.35598
2422.23-3.108.31586
2520.91-2.758.29574
投資期間と年平均利回りの関係(1950年~2022年)

投資期間を25年としても、最悪の場合リターンがマイナスになっています。これがS&P500との大きな違いですね。平均利回りは8%を超えており、悪くはない印象です。

インデックス投資を行うのであれば、日経平均をあえて選択する理由はなさそうです。

1975年から2022年の平均利回り

1975年から2022年の検証結果もみてみましょう。

投資期間と年平均利回りの関係(1975年~2022年)
スクロールできます
投資期間(年)最大値(%)最小値(%)平均値(%)サンプル数
165.80-48.766.18562
243.17-33.556.24550
336.10-26.326.09538
431.79-17.006.00526
530.97-12.735.96514
627.03-12.705.88502
727.12-12.705.77490
823.12-9.455.76478
921.52-9.435.66466
1020.12-7.835.49454
1119.15-7.235.22442
1219.50-8.264.95430
1318.13-9.034.65418
1418.02-8.244.33406
1516.75-6.194.07394
1614.07-4.913.91382
1712.26-3.453.79370
1811.86-3.763.67358
1911.09-5.053.54346
2010.32-4.303.38334
2110.60-4.763.28322
229.35-4.483.18310
238.16-4.343.17298
248.83-3.103.17286
258.36-2.753.16274
投資期間と年平均利回りの関係(1975年~2022年)

利回りの最小値は1950年から2022年の結果と全く同じになります。これは、最悪なケースが全て1975年以降に出現しているからです。バブル崩壊の頃であることは明白ですね。

平均利回りもかなり低くなっています。

2000年から2022年の平均利回り

最後に2000年から2022年の結果を示します。

投資期間と年平均利回りの関係(2000年~2022年)
スクロールできます
投資期間(年)最大値(%)最小値(%)平均値(%)サンプル数
165.80-48.764.75262
239.83-33.555.75250
336.00-26.326.10238
425.59-14.406.48226
521.79-12.696.68214
619.87-8.986.69202
717.31-4.686.41190
815.41-3.356.31178
916.64-6.266.37166
1014.50-4.416.48154
1112.62-3.876.32142
1213.08-3.656.35130
1311.64-0.816.51118
1410.031.516.30106
1510.502.796.3194
169.782.066.4282
178.662.926.7370
1810.553.676.6358
199.643.056.4446
208.152.705.9834
216.974.345.6222
225.354.074.5710
投資期間と年平均利回りの関係(2000年~2022年)

バブル崩壊直後の暴落期間が外れているため、長期投資のリターンが最悪でもプラスになっていることがわかります。平均リターンも回復してきています。

アベノミクスによる株価上昇のため、2000年以降の検証では悪くないパフォーマンスが出ています。

考察

日経平均はバブル崩壊の影響が大きく、S&P500に大きく差をつけられています。特に長期投資でも最悪のケースでリターンがマイナスになるのは、インデックス投資の対象としては不安があります。

ただ、2000年以降の検証ではパフォーマンスが良くなっていますので、今後もこの調子が続くのであれば、投資対象として考えてもよさそうです。そのためには、最高値を更新して上昇を続けられるかが鍵となります。

まとめ

S&P500と日経平均の投資期間と利回りの関係を検証しました。

S&P500は右肩上がりの推移を続けており、長期投資では最悪のケースでもプラスのリターンが期待できることがわかりました。また、平均的には7%〜9%の利回りとなっており、FIREに必要な4%ルールも妥当と言えます。

日経平均はバブル崩壊の影響が大きく、長期投資でもマイナスになるケースがあるため、インデックス投資の対象としては不安がある結果となりました。

FIREを目指している方やインデックス投資を考えている方、資産形成に取り組んでいる方の参考になれば幸いです。

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