2021年は、コロナショックからの回復相場のおかげで誰でも簡単に投資で利益をあげることができました。そして、より高いリターンを求める投資家の間では、レバナスという金融商品がブームになりました。
しかし、2022年に入ると状況が一変し、米国株は暴落といえるほどの下落に見舞われました。投資を始めていきなり大きな損失を抱え、レバナスに手を出したことを後悔した人も多くいたと思います。
ネット上では手のひらを返したようにレバナスに対する酷評があふれ、長期投資には向いていないという意見も多く見られるようになりました。
そこで今回、レバナスが本当に長期投資に向いていないのか、詳しく検証を行いました。その結果、私の意見としては、レバナスこそ長期投資すべきという結論に至りました。
本記事を読めば、レバナスに長期投資すべき理由がわかります。リスクを理解して挑めば、とても夢のある商品です。ぜひ最後までお付き合いください。
レバナスとは
レバナスとは、米国のナスダック市場に上場している企業の主要100銘柄で構成されるNASDAQ100指数に対し、日々の値動きがおよそ2倍になることを目指した投資信託のことです。レバレッジの「レバ」とナスダックの「ナス」をとって「レバナス」と呼ばれています。
NASDAQ100は1985年の途中から算出が開始された指数で、米国株価指数の一つであるS&P500に比べてIT企業の占める割合が大きく、値動きが大きいという特徴があります。NASDAQ100とS&P500それぞれの1986年の数値を100として、現在までの値動きを比較すると次のグラフのようになります。
グラフを見ると、NASDAQ100の値動きの方が激しいことがわかります。2000年頃の乱高下は、ITバブル崩壊によるものです。
レバナスはこのNASDAQ100の2倍の値動きになりますから、ハイリスクハイリターンの金融商品といえます。上昇時には大きく資産を増やせるものの、暴落に巻き込まれたときの損失は甚大となりますので、リスクを承知したうえで投資することが重要です。
レバナス商品としては、以下の投資信託があります。
- 大和ーiFreeレバレッジ NASDAQ100
- auーauAMレバレッジ NASDAQ100
- 楽天レバレッジNASDAQ-100
レバナスが長期投資に向かないと言われる理由
レバナスの値動きを詳しく見ていきます。
NASDAQ100が上昇していくとき、レバナスは次のグラフのように上昇していきます。ここでは値動きをわかりやすくするため、初期投資額を1万円、1日のリターンを5%として計算しています。
一方、NASDAQ100が下落するときは、レバナスは下のグラフのように下落します。
次に、NASDAQ100がもみ合い、つまり上昇と下落を繰り返す場合ですが、次のグラフのようになります。
以下に、もみ合い時の具体的な値動きを例示します。
経過 | 利率 | NASDAQ100 | レバナス |
---|---|---|---|
初期投資額 | – | ¥10,000 | ¥10,000 |
1日目 | 10.00% | ¥11,000 | ¥12,000 |
2日目 | -9.09% | ¥10,000 | ¥9,818 |
3日目 | -10.00% | ¥9,000 | ¥7,854 |
4日目 | 11.11% | ¥10,000 | ¥9,600 |
5日目 | 10.00% | ¥11,000 | ¥11,520 |
6日目 | -9.09% | ¥10,000 | ¥9,425 |
7日目 | -10.00% | ¥9,000 | ¥7,540 |
8日目 | 11.11% | ¥10,000 | ¥9,216 |
NASDAQ100は上昇と下落を繰り返して8日目には初期投資額と同じ値に戻っていますが、レバナスの方は元の値に戻っておらず、NASDAQ100よりも低い値になっています。つまり、レバナスにはもみ合いでズルズル値が下がるというデメリットがあることを示しています。
このデメリットのために、レバナスは一本調子で上昇する場合を除いて利益を上げるのが難しく、長期投資には向かないと言われています。
また、ITバブル崩壊やリーマンショックのような暴落に見舞われた際、レバナスでは資産が1/10以下になってしまう可能性もあります。このため、レバナスは短期で利益を上げて売り抜けるのがよい、という意見になるのも仕方がありません。長期に投資していると、このような暴落は避けられないからです。
しかし私は、レバナスの長期投資には他にはないメリットもあると考えています。詳しく解説しますので、見ていきましょう。
レバナスの隠れたメリット「複利の加速効果」とは
レバレッジをかけた投資商品について、レバレッジのない商品のポジションを2倍持てば、得られる利益は同じになるという意見がありますが、これは間違いです。
ここで、NASDAQ100とレバナスをそれぞれ1万円保有した場合と、NASDAQ100を2倍のポジション(2万円)で保有した場合の、それぞれの値動きを比較してみます。今回も値動きをわかりやすくするため、1日のリターンは5%としています。
上のグラフから利益のみを取り出して比較すると、次のグラフになります。
利益のみを比較すると、レバナスの方がポジション2倍よりも大きくなるのがわかります。
レバナスの利益は、上昇局面においてはNASDAQ100の2倍以上になる特徴があることを示しています。私はこのメリットを「複利の加速効果」と呼んでいます。
少し詳しく説明します。レバナスとポジション2倍の1日目の資産は、次のように計算されます。
1日目の利益は同じになります。続いて、2日目の資産は次のように計算されます。
上昇が続く場合、2日目以降はレバナスの方がリターンが大きくなり、NASDAQ100の2倍以上になることが計算式からわかります。
NASDAQ100の直近30年間の平均リターンは約17%もあります。そこで、初期投資額100万円として、仮に年利15%に相当するリターンで上昇していった場合の資産推移をシミュレーションしてみましょう。その結果は次のグラフのようになります。
レバナスの上昇率は圧倒的で、16年後には1億円を超えました。これが「複利の加速効果」の力です。
実際の相場ではこのような理想的な上昇をたどることはありませんが、これだけの潜在能力を持っていることは認識すべきです。
レバナスに長期投資しないのは、この圧倒的なリターンをみすみす放棄するようなものです。レバナスこそ長期投資すべきではないでしょうか。
では実際どうなのか、NASDAQ100のデータを使って長期的なリターンを検証していきます。
NASDAQとレバナスの長期リターンを比較
NASDAQ100の1986年から現在までの実際のデータを使って、NASDAQ100とレバナスのリターンシミュレーションを行いました。検証条件は次の通りです。
- 初期投資額を100万円とし、追加投資はしない
- 1986年から2022年の全ての月始めに投資を開始したケースを検証する
- 保有期間を1年間、5年間、10年間、15年間、20年間とした場合の、それぞれのリターンを算出する
- NASDAQ100の値動きのみでリターンを算出し、信託報酬などのコストは考えない
1年間保有の場合
NASDAQ100とレバナスそれぞれ1年間保有した場合の、購入タイミングとリターンの関係は下のようなグラフとなります。
グラフの見方は、横軸が購入したタイミング、縦軸が1年間保有したときのリターンを示しています。グラフ中にNASDAQ100の値動き(対数スケール)も表示していますので、市場動向との関係性がわかると思います。
初期投資額が100万円ですので、1年後に100万円を超えていればプラスリターン、100万円を割っていればマイナスリターンとなります。プラスリターンとマイナスリターンを、それぞれ青色と赤色で色分けしています。
購入タイミングが悪いと、1年後のリターンがマイナスになっているのがわかります。特にITバブル崩壊直前のピーク付近で購入した場合は、その後の下落で資産が大きく目減りしています。
レバナスの場合、100万円が10万円以下にまで減ってしまうケースがあります。資産が1/10になるレベルで、事前の覚悟がなければ、この下落に耐えるのは困難でしょう。
5年間保有の場合
NASDAQ100とレバナスそれぞれ5年間保有した場合の、購入タイミングとリターンの関係は下のようなグラフとなります。2018年以降のデータがないのは、5年間の保有期間をとることができないためです。
5年間保有すると、1年間の保有に比べてマイナスとなるタイミングがかなり減ってきます。長期保有でプラスリターンになる確率が上がる傾向は、レバナスにもあてはまります。
10年間保有の場合
NASDAQ100とレバナスそれぞれ10年間保有した場合の、購入タイミングとリターンの関係は下のようなグラフとなります。
10年間保有すると、マイナスになる購入タイミングはさらに少なくなります。ITバブル崩壊あたりにマイナスが残りますが、それ以外はほぼプラスとなっています。
15年間保有の場合
NASDAQ100とレバナスそれぞれ15年間保有した場合の、購入タイミングとリターンの関係は下のようなグラフとなります。
15年間保有した場合は、NASDAQ100ではマイナスとなる購入タイミングはほとんどありません。レバナスでは依然としてITバブル崩壊あたりにマイナスが出ていますが、損失額は大きく改善しています。
20年間保有の場合
NASDAQ100とレバナスそれぞれ20年間保有した場合の、購入タイミングとリターンの関係は下のようなグラフとなります。
20年間保有した場合、NASDAQ100はどの時期に購入してもプラスとなります。レバナスもマイナスはわずかに残る程度で、ほぼプラスになっています。
長期投資のパフォーマンス
NASDAQ100とレバナスのリターンシミュレーション結果から、長期投資のパフォーマンスをまとめます。
NASDAQ100
NASDAQ100の投資期間ごとの勝率は次のようになります。勝ち数はプラスリターンの回数、負け数はマイナスリターンの回数を意味しています。
投資期間 | 勝ち数 | 負け数 | 勝率 |
---|---|---|---|
1年 | 353 | 80 | 81.52% |
5年 | 332 | 53 | 86.23% |
10年 | 297 | 28 | 91.38% |
15年 | 264 | 1 | 99.62% |
20年 | 205 | 0 | 100.00% |
投資期間が長くなるほど勝率が高くなっていくのがわかります。15年を超えると、ほぼ100%の勝率といってよいでしょう。
また、NASDAQ100に100万円投資したときの、投資期間ごとの最終資産は次のようになります。
投資期間 | ベストケース | ワーストケース | 平均 |
---|---|---|---|
1年 | ¥2,216,269 | ¥327,218 | ¥1,168,793 |
5年 | ¥9,865,757 | ¥337,104 | ¥2,202,440 |
10年 | ¥21,059,756 | ¥426,225 | ¥4,336,030 |
15年 | ¥19,506,507 | ¥985,413 | ¥5,350,091 |
20年 | ¥15,235,560 | ¥1,776,667 | ¥8,076,876 |
最もパフォーマンスがよいケースでは、資産が2,000万円以上に増加しています。投資期間が20年になると、ワーストケースでもプラスリターンとなっています。
レバナス
レバナスの投資期間ごとの勝率は次のようになります。
投資期間 | 勝ち数 | 負け数 | 勝率 |
---|---|---|---|
1年 | 342 | 91 | 78.98% |
5年 | 311 | 74 | 80.78% |
10年 | 281 | 44 | 86.46% |
15年 | 240 | 25 | 90.57% |
20年 | 203 | 2 | 99.02% |
レバナスも、投資期間が長くなるほど勝率が高くなります。20年で100%近い勝率となっているため、長期投資に向かないということはありません。
また、レバナスに100万円投資したときの、投資期間ごとの最終資産は次のようになります。
投資期間 | ベストケース | ワーストケース | 平均 |
---|---|---|---|
1年 | ¥4,328,739 | ¥74,259 | ¥1,358,020 |
5年 | ¥63,364,264 | ¥48,364 | ¥4,948,737 |
10年 | ¥228,047,590 | ¥54,484 | ¥16,965,046 |
15年 | ¥120,466,653 | ¥254,738 | ¥11,754,515 |
20年 | ¥63,475,988 | ¥661,696 | ¥14,760,021 |
最もパフォーマンスがよいケースでは、資産が2億円以上になっています。
レバナスのリターンはNASDAQ100の2倍どころではなく、10倍以上にふくらむケースもあります。この結果からも、「複利の加速効果」のとてつもない力が確認できます。
最後に、投資期間ごとにNASDAQ100とレバナスのどちらのパフォーマンスがよかったかをまとめると、次のようになります。
投資期間 | NASDAQ100勝ち回数 | レバナス勝ち回数 | レバナス勝率 |
---|---|---|---|
1年 | 111 | 322 | 74.36% |
5年 | 114 | 271 | 70.39% |
10年 | 106 | 219 | 67.38% |
15年 | 94 | 171 | 64.53% |
20年 | 31 | 174 | 84.88% |
どの投資期間においても、レバナスの方が勝率がよいという結果になりました。つまり、長期投資でレバナスのパフォーマンスが悪くなるような傾向は見られないということです。
以上のことから、レバナスは長期投資に向かないどころか、レバナスこそ長期投資すべきというのが私の結論です。
100万円で億り人も夢じゃない
実際のNASDAQ100のデータを用いてシミュレーションを行った結果、レバナスでは100万円が1億円以上に膨らむケースがあることがわかりました。非常に稀なケースですが、夢がありますね。
レバナスの運用方針としては、生活余剰資金を使って100万円購入し、10年以上放置しておくのがおすすめです。100万円であれば頑張ればどなたでも準備できる金額だと思いますし、100万円で億り人になる夢を買えるのであれば、安いと思いませんか?
私自身、本記事の検証を通してレバナスの魅力を再確認し、実際に100万円分購入しました。失う可能性もありますが、覚悟のうえです。10年、20年後に資産がどうなっているか、そちらの方が楽しみです。
最後に注意点として、生活に必要な資金をレバナスにつぎ込むことは避けましょう。また、本記事の内容はレバナス投資の成功を保証するものではありませんので、実際の投資は個人の判断で行ってください。
まとめ
本記事では、レバナスが長期投資に向かないのかを検証しました。
レバナスはもみ合いでズルズル値下がりするデメリットがあることは事実ですが、「複利の加速効果」というメリットもあることがわかりました。
NASDAQ100の過去のデータを使って検証を行い、レバナスでも長期投資で高いリターンが得られることがわかりました。
私の意見としては、レバナスこそ長期投資すべきです。100万円を長期運用することで、億り人になることも夢ではありません。
本記事を参考に、レバナス投資に挑戦してみてはいかがでしょうか。宝くじよりよっぽど魅力があると思います。
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