株式投資を始めたばかりで、どのような投資スタイルが自分に合っているのかわからない方。本記事を読めば、さまざまな投資スタイルの特徴と、おすすめ度がわかります。
私がこれまで試した経験をもとにした内容ですので、一つの例として参考にしていただけると幸いです。
投資スタイル一覧と評価項目の説明
株式投資にはさまざまな投資スタイルがありますが、今回は以下の6種類に分けて解説します。全て私がこれまでにチャレンジしてきた投資スタイルです。
- テクニカル分析による投資
- ファンダメンタル分析による投資
- 投資雑誌を参考にした投資
- 株主優待目的の投資
- 高配当株投資
- インデックス投資
また、それぞれの投資スタイルについて、以下の5つの項目を評価しました。主観的な評価になりますので、その点はご了承ください。
- リスク・リターン
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リスク・リターンを5段階で評価しました。点数が低い場合は低リスク低リターン、点数が高い場合は高リスク高リターンと考えてください。どちらが良いというものではなく、人によって好みの分かれるところです。
- 難易度
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難易度を5段階で評価しました。点数が低い場合は難易度が高く、点数が高い場合は難易度が低いことを示しています。つまり、点数が高い方が良いということになります。
- 拘束時間
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そのスタイルで投資を行うのに、どれくらい時間がとられるかを5段階で評価しました。点数が低い場合は拘束時間が長く、点数が高い場合は拘束時間が短いことを示しています。つまり、点数が高いほうが良いということになります。
- 精神安定性
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投資を行っている最中の精神の安定性を5段階で評価しました。点数が低い方が不安感が強く、点数が高い方が安心感があることを示しています。
- おすすめ度
-
おすすめ度を5段階で評価しました。
評価結果は下のような図にまとめました。各項目の評価が良いのか悪いのかを示す顔のマークも付けましたので、直感的にわかると思います。
それでは詳細を見ていきましょう。
各投資スタイルの特徴解説
テクニカル分析による投資
特徴
テクニカル分析による投資は、株価チャートのパターンから今後の値動きを予想して売買を行うスタイルです。株価が上昇するのに合わせて購入するのを順張り、下落している株をあえて購入するのを逆張りといいます。順張りはトレンドがしばらく継続することを期待して購入し、逆張りは売られすぎによる反転上昇を期待して購入します。
評価
・リスク・リターン(5点)
基本的には短期的な売買で利益を得るスタイルです。短期的な株の値動きはランダム性が強く、失敗することも多々ありますが、強いトレンドに乗って大きなリターンが得られることもあります。
・難易度(1点)
損切りや利確の判断を的確に行う必要があり、難易度は非常に高いといえます。初心者は損切り貧乏になりかねません。
・拘束時間(1点)
値動きを常に気にしている必要があり、状況に応じて素早い対応も求められるため、拘束時間は長くなります。
・精神安定性(1点)
値動きに一喜一憂し、精神状態は不安定になりがちです。
・おすすめ度(1点)
難易度や拘束時間、精神安定性を考え、おすすめ度は1としました。ただ、リスクを承知で大きなリターンを狙いたいのであれば、この投資スタイルが最も適しています。
ファンダメンタル分析による投資
特徴
ファンダメンタル分析による投資は、企業の財務諸表から業績の良し悪しを判断したり、財務指標で割安感などを判断したりすることで、投資する企業を見つける投資スタイルです。
企業の成長戦略や業界の動向、経済状況、地政学的リスクなど、別のさまざまな要因も判断材料とします。
評価
・リスク・リターン(4点)
中・長期的な株価の値上がりを期待した投資スタイルであり、短期的なリターンを狙う手法ではありません。そのため、テクニカル分析よりもリスク・リターンは下がります。個人が入手できる情報は誰でも知りえますので、すでに株価に織り込み済みかもしれません。しかし、決算発表などでサプライズがあると、大きく動くこともあります。
・難易度(2点)
さまざまな知識を必要とするため難易度は高いですが、業績などは数値として明確に表されるため、テクニカル分析よりも判断基準がわかりやすいと言えます。
・拘束時間(2点)
企業の財務状況などを調査するのに手間と時間がかかります。いったん購入してしまえば、中・長期的な値上がりを待つことになりますので、拘束時間は株価をチェックする程度になるでしょう。
・精神安定性(2点)
テクニカル分析と比べると、日々の値動きに振りまわされることは少なくなります。しかし、予想に反した値動きがあると心配になりますし、長期間低迷すると自分の判断が信じきれなくなるものです。
・おすすめ度(2点)
ファンダメンタル分析は数値で判断できる指標が多いため、わかりやすいといえます。しかし、調査・分析には高いスキルが必要であり、手間と時間もかかります。また、業績がよくても株価が上昇するとは限らず、すでに織り込み済みということもあります。決算発表後にコンセンサス未達で暴落することも珍しくはありません。結局、上昇する銘柄を当てるのは難しく、おすすめ度は2としました。
投資雑誌を参考にした投資
特徴
投資雑誌を参考にした投資は、投資に関する雑誌に掲載された記事を参考に、値上がりが期待できる銘柄を選んで購入するスタイルです。このような手法をとっている方もいると思いますので、今回一つの投資スタイルとして取り上げてみました。私も以前はよく雑誌を買って参考にしていました。
評価
・リスク・リターン(4点)
ファンダメンタル分析による投資と同じです。
・難易度(4点)
自分で企業を調査・分析しなくても、雑誌を読むだけで情報が得られるため、難易度は高くありません。
・拘束時間(3点)
自分で企業を調査・分析する手間が省けるため、拘束時間は短くなります。
・精神安定性(3点)
専門性を持った人が調査した結果が記載されているため、ファンダメンタル分析に自信がない方にとっては安心感があるでしょう。
・おすすめ度(2点)
雑誌には企業を取材して得られた情報も記載されているため、そのような情報が手軽に入手できるのはありがたいです。個人が企業に取材するのは難しいですからね。しかし、記事によいことが書いてあっても、実際に値上がりするかは別の話です。おすすめ度は2としました。
株主優待目的の投資
特徴
株主優待目的の投資は、優待の内容が魅力的であるかや、優待利回りはどれくらいかという基準で銘柄を選んで購入するスタイルです。
評価
・リスク・リターン(2点)
株主優待目的ですので、値上がり益はあまり求めていないでしょう。長期間保有していると、優待拡充や優待廃止に遭遇することも珍しくはありません。そのような場合は、株価の暴騰や暴落が起きることがあり、リスクがないとは言えません。
・難易度(4点)
おすすめの株主優待情報はネットで簡単に調べられます。
・拘束時間(4点)
優待銘柄は多くありますが、ネット証券のホームページにある検索機能を使えば、調査にはそれほど時間はかからないでしょう。
・精神安定性(4点)
株主優待がもらえると単純にうれしいですね。優待目的で長期間保有していると、株価もあまり気にならなくなります。それよりも心配なのは、優待改悪や優待廃止です。
・おすすめ度(3点)
私の経験では、優待で得するよりも株価下落で損するケースが多いです。資産を形成したいのであれば、優待銘柄を購入することはおすすめしません。株主優待を楽しむためのもの、と割り切って投資するのがよいでしょう。おすすめ度は3としました。私も投資を始めた頃に購入した優待銘柄を今でもたくさん持っています。
高配当株投資
特徴
高配当株投資は、主に配当利回り3%以上の高配当銘柄を選んで購入するスタイルです。配当の安定性や連続増配なども判断材料とします。企業の業績によっては減配リスクもありますので、ファンダメンタル分析もある程度は必要です。
評価
・リスク・リターン(2点)
高配当株は定期的なキャッシュフローを期待するものですから、中・長期的な投資となります。高配当といっても3〜5%がよいところですから、大きなリターンを目指すスタイルではありません。
・難易度(3点)
高配当銘柄はネットで簡単に調べられます。ただ、購入のタイミングによっては株価下落による損失の方が大きくなってしまうため、ファンダメンタル分析のスキルも必要です。
・拘束時間(4点)
ネット証券のホームページでは、配当利回りと合わせて財務状況などもスクリーニングの条件に入れることができます。調査にはそれほど時間がかからないでしょう。
・精神安定性(4点)
長期保有して配当金が振り込まれるのを待つだけです。含み益ではなく確定利益であることは、下落局面での精神的安定につながります。
・おすすめ度(4点)
減配リスクはあるものの、安定したキャッシュフローをもたらす高配当株は非常に魅力的です。特に株価下落局面では配当金のありがたさを感じるでしょう。おすすめ度は4としました。ただし、高配当は企業の成長よりも株主還元を重視した結果であることが多く、値上がり益は期待しないほうがよいかもしれません。
インデックス投資
特徴
インデックス投資は、ここではインデックスファンドに長期積立投資を行うスタイルとします。投資対象としては、S&P500や全米株式、全世界株式のインデックスファンドを想定しています。経済の発展とともに株価が上昇することに賭ける投資スタイルです。日本の経済は長期に低迷していますが、米国や世界経済はこれからも成長を続けることが期待できます。
評価
・リスク・リターン(3点)
一時的な下落から回復するまで数年間を要することもありますが、長期的には7%程度のリターンが期待できます。10年、20年と長期に保有すればするほど、リスクは低下していきます。低リスク・中リターンといって差支えないでしょう。
・難易度(5点)
S&P500や全米株式、全世界株式といった王道の銘柄が決まっていますので、信託報酬が安いファンドを選択するだけです。難易度は低く、初心者でも簡単です。
・拘束時間(5点)
スキルを身につける必要はありませんし、銘柄を研究する必要もありません。積立投資もネット証券で設定すれば自動的に買い付けが行われますし、購入後はほったらかしで問題ありません。
・精神安定性(5点)
10年以上の長期投資が基本ですので、日々の値動きを気にする必要はありません。S&P500のこれまでの推移を見れば、リーマンショックなどいくつもの暴落を乗り越え、高値を更新してきた実績があります。精神安定性でインデックス投資に勝るものはないでしょう。
・おすすめ度(5点)
リターンが平均的なものになることと、投資としての面白みがないという面はありますが、おすすめ度は5です。初心者でも簡単で、拘束時間も非常に少ないですし、精神安定性もバツグンです。
各投資スタイルのメリット・デメリット
各投資スタイルのメリット・デメリットを以下の表にまとめました。ご自身に合った投資スタイルを探すときの参考にしてください。
投資スタイル | メリット | デメリット |
---|---|---|
テクニカル分析による投資 | ・大きなリターンが得られる可能性がある ・短期で稼げる可能性がある ・撤退しやすい | ・日々の値動きを常に気にする必要がある ・売買の判断が難しい ・拘束時間が長い ・損切り貧乏になる可能性がある |
ファンダメンタル分析による投資 | ・投資判断の根拠が明確 ・決算の上方修正で暴騰することがある ・日々の値動きはあまり気にしなくてよい | ・高度な知識が必要 ・銘柄を探すのに手間がかかる ・コンセンサス未達で暴落することがある |
投資雑誌を参考にした投資 | ・高度な知識は不要 ・自分で調べる手間が省ける ・日々の値動きはあまり気にしなくてよい | ・雑誌の購入にお金がかかる ・株価があがるとは限らない ・状況の変化は自分で調べる必要がある |
株主優待目的の投資 | ・簡単に優待株を検索できる ・優待をもらえるとうれしい ・株価は気にならない | ・優待が改悪や廃止されることがある ・損失の方が大きくなることがある ・長期優遇などがあり撤退しにくい |
高配当株投資 | ・簡単に高配当株を検索できる ・確定利益が得られる ・下落局面で精神安定が得られる | ・減配リスクがる ・株価が上昇しにくい ・損失の方が大きくなることがある ・ファンダメンタルの知識も必要 |
インデックス投資 | ・誰でも簡単にできる ・ほったらかしでよく、拘束時間が短い ・精神安定性がバツグン | ・平均的なリターンにとどまる ・面白みがない ・出口戦略(売り方)が難しい |
おすすめ度ランキング
私の個人的な意見ですが、おすすめ度ランキングは以下の通りです。
- インデックス投資
- 高配当株投資
- 株主優待目的の投資
- ファンダメンタル分析による投資
- 投資雑誌を参考にした投資
- テクニカル分析による投資
まとめ
さまざまな投資スタイルの特徴を解説するとともに、5つの項目で評価を行いました。みなさんがご自身に合った投資スタイルを見つける際の参考になれば幸いです。
おすすめ度ランキングの1位はインデックス投資です。特に初心者にはおすすめです。特別なスキルの習得も不要ですし、長く続けるほどリスクが低下していきます。
まだインデックス投資を行ったことがない方は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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